小鳥の遊び場

詩と文のライブラリ

僕とティアとの関係

パートナーのYūtenjiだ。初めてここに文を執筆しようかと思う。
今回は、1つ前に京華が書いた文へのレスポンスだ。まだ見てない人は最初にそちらから見て欲しい。

 

 

 “野獣”、もとい“ティア”。ティアは野獣をドイツ語(Tier)にしたもの。僕が直接野獣と呼ぶのが抵抗があったから名前を付け直すことにした。意味はそのまま変わっていないけど、この方がそんなに抵抗がないような気がしたんだ。

 

:: ティアとの出会い、そして再会

 ティアを初めて観測したのは6月くらいだったと思う。ティアは喋ることが出来なければ、恐らく声を聴くこともできない人格。コミュニケーションは電子ペーパーで簡単な会話くらいで、あとは猫の手でさすって、それで何をしたいかを読み取っていたと思う。数日くらい現れて、以降長い間現れていなかった。

 しかし今月中旬、久しぶりにティアを観測した。毎回自分自身のお腹と僕の腕や太ももをさすってくる。お腹が減ってると言わんばかりに。そのたびに自分がすぐ出せるものをティアに与えた。ドリアとかラザニアとか、アイスとか。

 

:: ティアの好みと、1度目の自分の外出

 ご飯やおやつを与えていると、ティアが好き嫌いをするようになった。ティアが好きなのは、スーパーで売ってるバニラアイスとりんご味の蒟蒻畑。他の味の蒟蒻畑もあったけどそれはお気に召さないようで。

 そのうち、ティアの好きなバニラアイスを切らしてしまった。けれどティアはアイスを食べたい仕草を見せる。困ったな・・・アイスが無い(買わないとない)ことをティアが理解してくれない。けれどティアがバニラアイスの箱を噛みちぎるくらいには食べたくて仕方なかったのだろう。

 

 僕は色んな事を試した。

 まずは「アイスが無くなったから買いに行かないといけない」とティアに話したり筆談したりした。しかし表情を見る限りティアは理解できなかったであろう。

 次に、ティアと一緒に外出しようとした。しかしティアは普段四足歩行なので、靴の履き方を知らなかった。身振り手振り教えようとしても、靴に手を入れてしまい、これでは外出できない。

 最後に、曲を流した。普段どうしようも無くなった場合は、普段は曲の力を使って他の人格を強制的に呼び出している。しかしこのときは、どの曲を流しても他の人格に変わることはなかった。

 

 そこで僕は1度目の外出を決行した。

 ティアを置いて、家を出る。扉からはティアの叫び声が聞こえる。はじめてティアの声を聴いた。悲痛なように思えた。僕も心を苦しい・・・が致し方なくアイスを買いに行った。

 ティアのためにすぐ帰らなきゃ。そう思い、コンビニまで走り、適当なアイスクリームを見繕って買ってきた。ちょうどその頃自分のiPhoneに電話がかかってきた。彼女からだ。電話に出ると、ティアが叫んでいた。やっぱり悲痛なように思う。帰りも急いで走って帰ってきた。

 

:: 適当なアイスではお気に召さず

 家に着いたら、買ってきたアイスを早速ティアに渡した。頼むこれで満足してくれ・・・!しかしティアはそのアイスを最後までは食べなかった。コンビニのアイスではなくやはりスーパーのバニラアイスが好きなのだろう。

 畜生、もう一度買いに行かないといけないのか・・・。そう思い2度目の外出をしようとした。するとティアが力ずくで外出を止めようとする。無理もない。彼女の体は、ティアに限らず、一人ぼっちが嫌いな人格が多い。きっとティアも同じくだったんだろうな。

 

 その後、僕はティアの好きなものをストック買いするようにした。バニラアイスが減ってきたら定期的に補充。蒟蒻畑も、ティアは1日に5個〜15個食べるので、食べただけその分ローリングストックするようになった。好きな食べ物を切らすという理由で外出し、ティアを不安にさせたくなかったのだ。

 

:: 噛む、という愛情表現

 食べ物問題の解決後、今度はティアは僕の体を噛むようになった。特に、耳を中心に噛むようになった。これが結構痛い。自分が噛まれる耐性が特別無いだけかも知れないけれど、噛まれるのが結構辛い。

 

 ある日、ティアはいつにも増して、耳以外にも、腕、顔、脚を噛むようになった。その時は噛まれるのが限界に感じ始めていた。我慢できずに、今度は自己防衛のために外出した。その時は意図的に長時間外出した。iPhoneも持たずに。

 

 帰ったら、ティアの様子がおかしかった。体を噛むのは相変わらずだったけど、今度はティア自身の甲を噛むようになった。

 これは・・・自傷だ。そう思いティアの行動を止めようとした。噛むならせめて僕の体にしてくれ!!しかしティアは自傷をやめようとしない。僕の手をどけてまでも自傷しようとする。

 色んなアプローチをしようとした。

 蒟蒻畑。・・・違う。

 バニラアイス。・・・これも違う。

 Nintendo Switch。この頃はティアと一緒にSwitchでアニメを見ていたからな。・・・けれどこれも違う。

 最終的にティアは僕を押しのけてまで自傷をし続けた。

 

 

:: 後悔

 ここまでの自分の行動に僕は後悔をした。

 食べ物がなくて外出してしまったのは自分自身でも酌量の余地はあると思う。しかし痛みに耐えきれずに家を出てしまった自分は、正直ないと思う。

 

《何故噛むのか》

 これに関して正直理解はしていた。これはティアなりの愛情表現。しかし歯で噛まれるのは自分にとってはあまりにも痛すぎた。

  甘噛みを教えようとした。これくらいの力加減で噛むんだよ、というつもりで。しかしティアの噛む力は変わらなかった。今度は自分なりの本気の力でティアの耳を噛んだ。これくらい痛いんだよというのをティアに知って欲しくて。・・・それでもティアの噛む力は変わらなかった。

 多分ティアの噛む力は今後も変わらないだろう。しかし、自分が受け入れ続けていれば・・・逃げなければ・・・また違う結果だったかも知れないと思う。

 

構って。わかって。お腹空いてるんじゃないの。こっち見て。遊んで。

 分かってはいた。が、器が僕には備わっていなかった。

 

 

:: これから

 ティアに不安にさせたり、孤独に感じさせるのは僕も本望じゃない。

 どうすればいいか解っていないけれど、試行錯誤しながらティアと付き合っていくと思う。耳を噛まれるのは相変わらず痛いけれど、体が慣れてくれたらと思う。それまで長い道のりかも知れないけれど。

 そしてティアは、空腹を満たしたいだけじゃない。遊んで欲しいんだ。仕事中は満足に遊んでやれないかも知れないけれど、それでもティアの気持ちに少しずつ応えていきたいと思う。

 

 僕は《かがり》という人格が好きだ。けれど全員の人格と友好的な関係をもちたいと思っている。もちろんティアとも。みんなの幸せを願って。