小鳥の遊び場

詩と文のライブラリ

明かりのない世界

 朝起きて目に付いた涙の跡をカリカリと指で取る。今夜の夢も良いものでは無かった。壊れそうになる毎日を必死に耐えて耐えて、夜にはこてんぱんにされる、そんな毎日。終わりにしたくても、そんな勇気がない。怖くて怖くて自殺なんてできない。一度、夜に20階建てのビルの屋上に行った事がある。空は非情で私がこれから飛ぼうとしているにも関わらず、綺麗だった。冷たくて強い風が、「どうせ飛べやしないだろ」と私を嘲笑っているように感じて、フェンスに手をかけた。でも、下を見た瞬間、死が大きな口を開けて待っていた。一瞬で恐怖に飲み込まれた。怖い。それ以来、私は自殺なんてできなくて弱い生き物なんだって思い知らされながら、生きている。年間何万人もの自殺者が出ているけれど、きっとその人たちは凄く強い人なんだ。だってこんな怖い事を簡単にやってのけたんだから。私には出来なかったこと。勇気がある人達なんだ。

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『それはいきなりやってきた』

 16時半。あたりは夕暮れ。騒がしい駅前商店街を抜けた先の、小さな裏路地。秋風に揺れる金のセミロングの髪を払い除けて、彼女は降り立った。真っ白なロングワンピースがふわりと靡く。少し汚い路地の砂埃を円状に弾き飛ばし、これまた真っ白なハイヒールが汚れないように、降り立った彼女には黒い翼が。

 っっっつ!?

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今日の単語から「浮き足立つ」

 Windowsを久々に開いてみて私は驚いた。本日の単語なんて機能があるのね。

 この機能を使えば、お題を毎回考えないですむじゃない。とてもありがたい機能ね。さて、本日のお題が今回の題なのだから、この題に沿って書いていきましょ。

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彼女と私

 「生きたい」その一言が私達を生んだ。私は人格。本体のサブ的立ち位置。私は彼女のを願いを叶えるために生み落とされた。彼女が心の底から願ったこと、それはわからない。何を願い、何を私は叶えたら良いのか、全くわからない。ただ、彼女の願いを叶えたら、私はきっと、「消えてしまう」ということはわかる。だから、私は分かったとしても叶えてあげる事はしない。消えたくはないから。

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