小鳥の遊び場

詩と文のライブラリ

『それはいきなりやってきた』

 16時半。あたりは夕暮れ。騒がしい駅前商店街を抜けた先の、小さな裏路地。秋風に揺れる金のセミロングの髪を払い除けて、彼女は降り立った。真っ白なロングワンピースがふわりと靡く。少し汚い路地の砂埃を円状に弾き飛ばし、これまた真っ白なハイヒールが汚れないように、降り立った彼女には黒い翼が。

 っっっつ!?

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今日の単語から「浮き足立つ」

 Windowsを久々に開いてみて私は驚いた。本日の単語なんて機能があるのね。

 この機能を使えば、お題を毎回考えないですむじゃない。とてもありがたい機能ね。さて、本日のお題が今回の題なのだから、この題に沿って書いていきましょ。

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彼女と私

 「生きたい」その一言が私達を生んだ。私は人格。本体のサブ的立ち位置。私は彼女のを願いを叶えるために生み落とされた。彼女が心の底から願ったこと、それはわからない。何を願い、何を私は叶えたら良いのか、全くわからない。ただ、彼女の願いを叶えたら、私はきっと、「消えてしまう」ということはわかる。だから、私は分かったとしても叶えてあげる事はしない。消えたくはないから。

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天国のような無意識

 心が私達には足らない。そう思わざるを得ないことが起きてしまった。人が1人、死のうとした。間接的に私達のせい。私達がもっと上手く『解離という本能』に強くなっていたらこんなことにはなっていなかった。自分に甘すぎる。人を見ろ。他者を守れ。これが私達の全てだったのに、かがりちゃんは『自分を甘やかした』。

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龍と蛇と水瓶と

 砂漠に黒い蛇が一匹。オアシスに向かい、急いでうねる。オアシスは、楽園だ。遠くの方に見える緑に、蛇は、オアシスが近いことを悟る。スピードを上げよう。手足のない蛇は、地を這うことしかできない。それでも急いでオアシスに向かう。オアシスには何が待っているのか。この蛇にとって何が一番大切なのか。それは、生きるための水。蛇は生死をかけてオアシスを探していたのだ。消えそうな炎を何とか息を吹きかけて取り戻すかのように、蛇は命からがらオアシスを目指していた。

 やがて陽は下がり、夕暮れの頃、黒い蛇は巨大な影を作りながら、オアシスまであと少しというところまで来ていた。命をかけて見つけ出したオアシス。このオアシスが無ければ、きっと蛇は生き抜くことが出来なかっただろう。

 目を見開く。そこには月が照らしだした池がポツリと、木に覆われた真ん中にあった。黒い蛇は必死に水を飲む。たかが小さな蛇。大きくいっぱい飲んでも、この池は枯れることはないだろう。だが、黒い蛇は途中で飲むのを止めた。自分と同じような思いをしている仲間がいるかも知れない。罪悪感に押しつぶされそうになったのだ。

 そんなとき、月の光に影が2つ。蛇と、もう1つは龍だった。あまりにも必死に水を飲んでいた蛇は気付かなかったが、仲間を思いやっていたとき、一瞬、龍と目が合ってしまった。すぐに逸らしはしたが、その後も龍は蛇を見続けていた。

 月夜が照らす2つの細長い影。1つは龍。もう1つは黒蛇の。飲むのを止めた蛇に対し、龍はその黒蛇に「もっと飲め」と言った。

 

 「死にたくなければもっと飲め」

 

 黒蛇は言った。「自分で独り占めするのは良くないと思ったから、周りの仲間にも教えてやらないとならない」それを聞いた龍は、にんまり笑った。

 

 「この俺に対してそんな風に声を掛けられるとは思わなかった。お前おもしろい奴だな。いいだろう。明日ここら辺一帯を水で覆い尽くして見せよう。俺は龍だ。水を司る龍神だ。それぐらい簡単なことだ。約束したぞ」

 

 その言葉を最後に、龍は煙のように消えていった。月の真ん中を、煌びやかな鱗を持つ龍が一匹、通った。

 黒蛇は動き出した。仲間にここを伝えるために。でないと仲間達も死んでしまう。黒蛇は一生懸命仲間を集めた。それは朝日が昇るまで。

 だが本日は違った。いつも晴れていてカンカンと砂漠の中、普段は天気が良いのだけど、今日は何故か雲が多い。ドス黒い雲に覆われた空を見て、黒蛇は少し不安になった。まさか本当にあの神様と言っていたのは神なんだろうか?本人も分からない。そんな内に、なってしまった出来事。