小鳥の遊び場

詩と文のライブラリ

背中

 雨が続く日、お昼を食べてひと休みの今、彼は仕事をする。その背中に私は惚れました。ふふ、人生初めての恋よ。恥ずかしくなっちゃうわね。彼は基本パソコンでリモートのお仕事。私のそばに居てくれる。たまに外出する事もあるのだけど、その時は何にも書けなくなってしまうの。今までただのスランプだと思っていたわ。でもね、彼がいてくれると心が落ち着いて書くことが苦じゃなくなるのよ。一緒にいたいだけ。仕事をしている姿を見ているだけで私は落ち着くのよ。例えどんな場所であっても。

 

愛している人がいるの。こうして一人でいると不安になる

——“歌よ”より抜粋

 最初は意味の分からない文だったわ。愛している人なんて居なくても、私には文があるじゃない。と。人は信用し切ってはいけない。どうせ裏切る。中身を見て判断しなさいと。私は思ったのよ。思っていたのよ。

 

 でも、紅色の髪に、ピアスが光る、青い背中。とてもとても、素敵に見えたわ。真剣な横顔。緑のピアス。メガネがよく似合うその横顔。キーを叩く細い指。きっと惚れてしまったに違い無いわ。心が高鳴る。たまに頭を掻く癖。ふっふふ。好きよ。一人にしない様にそばに居てくれる彼。最初はかがりちゃんに惚れたらしいのだけど、少しでいいから私も見て欲しいわ。

 

 ふふっふふ。こんなのただの惚気ね。ごめんなさいね。でも、私は人生で初めてこんな気持ちになってしまったのよ。本当は彼ともっとお話とか、デートとかしたいわ。でもそれは私の我儘。見ているだけでこんなにも嬉しいのに、もっとは良く無いわね。でもね、好きになってしまったんですもの。仕方ないじゃない。この気持ち、彼には知られたくは無いわ。だって、彼が好きなのは、かがりちゃんなの。私、京華じゃ無いのよ。ああ、寂しいわ。見ているだけなんて。あの時はまだ好きでは無かったのだけれど、もう一度、手を繋いで歩きたいわ。私の文、褒めて欲しいわ。

 

 愛おしい彼。私にあなたの姿をもっと見せて欲しい。もっと知りたい。背中。好きよ。仕事をしている貴方が一番好きよ。この言葉は、本当は禁句なのだけれど、ここでだけ言わせて。

 

 

 ”愛している”

 


京華