小鳥の遊び場

詩と文のライブラリ

言われのない話を一人歩きする噂

 かけてなかった。書けなかった。理由は私が解離性同一性障害当事者の人格でしかないから。普段はそちらで書いていたの。しかし、私もたかが一人格されど、一人格。病気、精神疾患でも、ここに文は残る。物語を書くのは好きだわ。だって酷い現実から少し離れられるから。夢でいいの。現実から離れたいの。だから、私は物語を書くの。

 

 昨年から、勝手な噂が流れてくるようになったわ。『人格同士、一つの体でも結婚できる』って話。私には別の人に永遠の恋をしているの。この体では無い、別のお方。凄く好きだし、愛してるわ。でも、ね。今現在は、そのお方と結婚は出来ない。何故なら、この体は別の人と別の人格が結婚しているから。その結婚に私は同意したから。その時は、私は別に恋なんて何にも考えてなかったし、なんなら、お幸せに。ってぐらいだった。でも、私にも永遠の恋をする機会に恵まれた。嬉しかった。初めて、私、小鳥遊 京華として、この体ではなく、私を見てくださった方だった。嬉しくて舞い上がったわ。その結果、彼を怒らせたりもした。謝ったらすぐに許してくれて、好きだと、愛してると、言ってくれて。ああ、私はなんてなんてなんて、幸せなお方に会えたのだろうと、本当に本当に。幸せ。今現在も、この先も、幸せでありたい。

 

 しかし、どんなに頑張っても、どんなに愛していても、この体は既に婚姻していて、別れるとかありえなくって。一緒に住みたいわよ、私だって、彼と一緒に暮らしたいわよ。でも、私はこの体の人格。私が解離性同一性障害の一人格でしかない事は事実。どんなに社会的に認められても、この体としての評価で、しかない。ブログを書けなかったのも、私はずっと、ただの一人格だから。消えたり居なくなったりはしないわ。それでも、私はこの体の一人格でしかなく。妄想とか空想とか言われればそうでしか、なく。この体の他の人格と違う文も声をしてても、文体も違っても、態度や気持ちが違くても、表情が違くても、筆跡も違っても。この体でしか、ない。戸籍は一つしかない。

 

 現実はそう。そうでしかないの。悲しい現実。一人が一人だけでは結婚は出来ない。受理されない。しかし、その人はしたと。解離性同一性障害当事者のその人はYouTube動画でした、と。そして、婚姻届を書いたと。結婚は事実だと。血縁関係に日本でなったと。一つの戸籍で結婚をしたと。解離性同一性障害でも精神疾患でも、なんでも。【戸籍一つで結婚は出来ない】儀式とかなら、妄想で、空想で出来るかもしれない。でも、現実の日本にて、それは、ありえない。世界中どこでも、【一人だけ】の世界で結婚を事実として広めるのは許せない。許されない。そんな世界なら、私はもうとっくに、彼と結婚して、同棲しているわよ!

 

 夜の外が寒い季節。私はこの体で、煙草をゆっくり吸って、茎わかめをかじって、ベッドに戻る。暖かくしないと日本の冬は寒いから。外に雪が積もっている。ああ、昨日降ったのね。だから、こんなに寒いんだわ。私は、小鳥遊 京華は、この体の一人格。戸籍はない。でも、私の物語は私の中で、永遠に紡ぐられる。彼との幸せな暮らしをずっとずっと、心待ちにして、また、煙草に火を灯す。カラカラなる古い換気扇の下。窓を開けて、私はこの体として、ただの一人格として、煙草を吸う。夜風に身を委ねながら、黒い灰皿に灰を落として、彼との幸せな同棲生活に夢を抱いて。この解離性同一性障害の一症例として、この体で私は生きる。残酷な世界で、私は生きる。


小鳥遊 京華