轟音の中、台風が私の町を飲み込んでいた。秋になるとよくある台風。
しかし、今回の台風はひと味違った。小学校は避難所となり、各自治体が避難を呼びかけるほど今回の台風は強かった。川は氾濫したらしいとか、風で瓦屋根が半壊したとか、外には出られないとかいろいろなニュースがいろんな媒体で発信されていた。
私は自宅で待機していた。この家は震度6まで耐えられる最新式だったし、パントリーには備蓄がかなりあった。いざというとき、人は傲慢になる。とある地震の時に学んだので、それ以降、かなり備蓄はしておいた。夫もその意識は強く、協力的だった。
会社は休み。長女の彩智と猫のむー、あと、近くに住む義母、義父が我が家に避難していた。川からかなり遠い我が家は氾濫には巻き込まれないと私は推測していた。土砂崩れもここの地域には崖とか山はないので心配してない。ある程度の住宅街。基本はコンクリート舗装のこの墓所で、台風の被害と言えばインフラだろう。でも、うちには夫がもらってきた小型の発電機がある。お風呂に水は溜めているし、対策は万全だ。むーの餌もたくさんある。問題は無い。
義実家とは週1で遊びに行くほど仲が良い。心配症の義母の背中をさすりながら私はのんきに今日の夕飯、豪華にしたいな。なんて考えていた。
夫はだらしなく居間のカーペットの上でゴロゴロスマホを見ている。その隣で彩智ぐでーとソファーに転がりながら、漫画を読んでいた。小学校も臨時休校だし、外にはでれないので暇なんだろう。猫のむーはずっとキャットタワーの一番上から降りてこない。毛も逆立てているのでびびっているのだろう。時折悪天候の外を見て「うー」と唸っている。まだ1歳になったばかりだから怖いのは仕方ないか。
私たちの不安な日中はこうして過ぎていった。
夜、台風は強かった。数々の被害を出して過ぎていった。義実家も改装はしていたが、少なからずダメージを負ってしまっているだろう。
台風は夜、豪華にちらし寿司をした後、いつの間にか熱帯低気圧になり私たちの地域を去っていった。
夜も遅かったので義母たちは今晩は、うちで泊まる事になり、彩智は嬉しそうにはしゃぎ過ぎたのか、義母と一緒にすぐに寝てしまった。明日は土曜日ということもあり、私は義父と夫と晩酌を楽しみ、今夜は過ぎていった。
結果から言うと私の家も義実家も被害は無かった。しかし、分かっていた通り、インフラは止まってしまった。電気はなんとかなるものの、水とガスは復旧まで3日はかかった。
しかし、今回のことから、私たちの対策は間違いじゃ無かった。と思わされた。
台風たった秋の風物詩は、人を殺すこともある。これを機に、地震や台風なんかの自然現象からの対策はしっかりそなえてほしい。
小鳥遊京華