小鳥の遊び場

詩と文のライブラリ

子猫と主人

 昼下がりの暖かい日。お昼を少し食べて、昼寝して、起きてから無性に遊びたくなったので、下からご主人を見上げた。ご主人は座って何かカタカタしている。本当は主人に甘えたい気持ちをグッと堪えて待つ。大好きな主人に1度怒られてしまったから、我慢する。本当は構って欲しいし、遊んで欲しいけど黙って大人しく待つ。

 

 以前、主人の気を引きたくってにゃーと鳴いていたら、主人は撫でてくれたけど、先輩猫のまめさんに“主人は忙しいから迷惑はかけちゃダメ”と言われてそうなんだって初めて思った。から、鳴くのも我慢。まめさんは主人がカタカタなんかしている間、ゆったりとタワーの最上段で尻尾を揺らしてご主人を見ている。きっとまめさんも遊びたいんだ。でも僕のように遊んでアピールをしないのは、大人だなぁって思う。僕は少しでも遊んで欲しくて待ってられないもん。


 時折、ご主人の手が上がる。これは撫でてくれるのかと思いきや、頭をポリポリ掻くだけ。期待している僕からしたら、焦らされているようで少しソワソワする。何かを飲みながらカタカタするご主人。にゃーって鳴いてみようか。でも、また、まめさんに怒られてしまうかもしれないしなぁ。あ、ご主人がカタカタやめて、上を見た。チャンスだ。


 「にゃー」


 「あ、福太こんなとこにいたのか。ごめんなぁ。仕事が忙しくて、なかなか遊んでやれてないな」


 ご主人の大きな手が伸びてきて僕を抱き抱えた。嬉しい。少し撫でてもらって思わず、ゴロゴロって鳴いちゃった。心地良いご主人の手の中。ゆったり抱き抱えられると眠くなってきちゃう。ふあーとあくびが一つ。このまま寝ちゃうのもありだなぁ。


 「よーしよーし、福太。今日はもう少ししたら遊んであげれるからなぁ。もうちょっと待っててなぁ」


 「にゃー」


 ご主人の手が下に下がっていく。この心地良いのも終わりかぁ。でも、ご主人は“もう少ししたら、遊んでくれる”って言ってたしな。眠くなっちゃったし寝床に戻って少し寝よう。


 『まめ、お前は良い子だな。よしよーし』


 ご主人の声が聞こえる。まめさんにもおんなじ様にするのかな。でもまめさん大きいからな、抱き上げんのは無理だろうし、あ、でも撫でては貰えるのかな。良いなぁ。


 寝床についた僕は遠くの方でカタカタの音を聞きながらゆっくり丸まった。

 

 おやすみ。