小鳥の遊び場

詩と文のライブラリ

地獄の3週間

 深夜の夜。馬鹿騒ぎしている男子がなんか言いながら走って行った。しーんと静まり返った夜に私のタバコが光る。夜の住宅街、光は微かな月の光と街灯がポツリポツリとあるだけ。今日も一日頑張った。私はタバコを蒸す。ベリーフレーバーの味が心地よくて、タバコがやめられないわ。こうしているとあの時を思い出す。地獄の3週間。なすがままになるしかなかった去年の11月頃。ひたすらに時間に制約があったあの頃。私が初めて泣いたあの日を。

 

 家なき子の頃、私達は言われるがままに、ダルクにいたのよ。行政がそこしかいれるとこ無いって言ったから、エル君がきめたの。コロナ禍の今時、病院に留まることはできなかったのよ。あと、タバコを吸いたかったのもあるわね。致し方なかった、と、私も思うわ。行政の言うことには従うしかなかった。致し方ないこと。どうしようも出来ない。悪いのは私達。しょうがなかったのよ。方法が無かったのよ。言われるがまま、私達はダルクへ行くことになる。

 

 あそこはまぁ、刑務所の延長線ね。きっちり決まったスケジュールに、神様へのお祈り、自分の懺悔。ご飯の分量すら決まっていて、噛むことを強制されたわ。私達はご飯をあまり噛むことがないのだけど、それを治せと要求されたの。いいえ、強制されたのよ。ご飯食べ終わるまで、見張りが付く。美味しくない、苦しいだけのご飯。食べることなんてしたくなくなるような地獄。

 

 鬱で動けない日もあったわ。強制的に立たされて、強制的に労働に行かされた。もう、生き地獄としか言えない世界。2階から転落死できないか考えなかった日は、無いわ。いつまで続くのかしら。とずっと考えていたある日、最大級の爆弾が突然降ってきたのよ。

 

 ええ、私はその爆発に飲み込まれ、フラッシュバックを起こし、部屋に入ってすぐに、布団を抱えて泣いたわ。大声で泣いたわ。苦しいだけの日々だったことには違いないわ。

 

 今となっては懐かしい日々。色々な人を見てきて、色々な話を聞いて、物が食べれなくなり、生きる希望も無くなった日々。今でもたまに夢に出てくる光景。ふふ、笑いたいくらいの地獄の3週間。そこで得たものは絶対忘れはしないわ。恨みを込めて私はあの場所を思い出し続ける。

 


京華